2019年いわた書店さん訪問【一万円選書の極意を学ぶ】&本紹介

活動報告

一万円選書の聖地、北海道砂川のいわた書店。

今回、選書サービスをしたいと思っている旨をお伝えし、社長の岩田さんからお話をお聞きすることができました。岩田さんが「選書」にかける想いと、いわた書店さんで購入した本の紹介をお届けします。

一万円選書の聖地、北海道砂川のいわた書店。

「一万円選書」発祥の地であり、地元から愛される「町の本屋さん」。

新千歳空港から、電車移動で約1時間30分。いわた書店のある砂川へやってきました。砂川駅からすぐ、徒歩5分のところにいわた書店はあります。

書店に入ると、50代くらいの男性が「いらっしゃい!」と笑顔で迎えてくれました。テレビで見たとおりの方だったので、すぐに岩田さんだと分かりました。

店内を見せて頂くと、文房具や雑誌のコーナーなどもありつつ、奥には岩田さんセレクトの「一万円選書」のコーナーがあります。表紙が見やすいように並べられ、つい手に取ってみたくなりました。

平日の昼間から、じっくりと本を見ているお客さんがいるのも印象的でした。一方で、「○○区の地図ってある?」「判子が欲しいんだけど」と、地元のお客さんたちも顔を出します。

昔なつかしい「町の本屋さん」。今回は、それを支えるきっかけとなった、「選書」にかける想いをお伺いしてきました。

「選書」が出来るのは、「その人の背中を押すこと」。

――選書で使う「本」は、どのように決められているんですか?

岩田さん:
本はね、だいたい1日200冊くらい出てるんです。その中から、「これなら人に勧めてもいいかな」というのを自分で読んで決めていますね。いくら著名な作家の作品でも、読んでみないことには面白いかどうか分からないでしょう。

――選書される際に、心掛けていることはありますか?

岩田さん:
アドバイスはしないですね。こうした方がいいですよ、というのは言わない。みんな自分の人生のことは、自分で考えてちゃんとわかってるんです。だから、選書カルテを読んで、「この人は何で困っている人なのか」というのを読み取ろうとしますね。

選書カルテは、答えていくとその人の「過去」「今」「未来」が分かるようになっているんです。その人が進みたがっている方向に「後ろから背中を押してもらっている」と感じてもらえたら。

――たとえば、今までにどういう方がいらっしゃいましたか?

岩田さん:
多いのは、「自分の代わりなんていくらでもいる」と思って悩んでいる人。そんなわけないんですよ。あなたは世界でたったひとりの人間なんだから。そういうことが伝わるように、と思ってます。

そのためには寄り沿ってあげるというか、気持ちを吐き出せる場所がある、っていうが大事なんだと思ってます。書くことで気持ちを吐き出すことができれば、それだけでも気分はずっと良くなるから。

「選書カルテ」は、書いた人自身への「プレゼント」でもある

――選書をしていて、どんな言葉をもらえるとうれしいですか?

岩田さん:
それはやっぱり、選んだ本が面白かった、と言ってもらえるのが一番です。

――選書をしていて大変だと感じるのは、どんなときですか?

岩田さん:
カルテに書いてくれないとき、ですね。こちらとしては、カルテに書いてあること以外は分からないわけでしょう。本当のことを書いていなかったり、全然書いていなかったりするときは、難しいね。

――岩田さんは、そういうとき、どうされるんですか?

岩田さん:
仕方がないので、書いてあることから、「この人は本当は何が言いたいのか?」っていうのを考えて選びます。自分を隠している、と思っている人でも、よく読めば分かるんです。書いた人のことがよく出ているから、カルテっていうのは、書いた人自身への「プレゼント」だなと思います。

お店も一万円選書も、できるだけ長く続けたい。

――今は、月にどれくらい選書をされているんですか?

今は、月に100~150件くらい選書しています。そこに(店の奥にあるスペースに置かれた小包の山を指して)あるのが、全部そうです。

とても一人じゃあ追っつかないから、手伝ってもらってなんとかそれくらいです。みんなには、僕が選ぶことだけできるように、梱包したり郵送したりとかをやってもらってますね。チームプレーじゃないと、とてもじゃないけど回っていかないね。

――選書は岩田さんお一人でされてるんですね。他に、「選書したい」という方はいないんですか?

岩田さん:
いないんです。「自分なんか」ってみんな言うんです。選書は誰でもできると思ってるんだけど。選書はね、面白い本の「教えっこ」だと思ってますから。

――今後は、どのようなお店にしていきたいと考えられていますか?

岩田さん:
なるべく、ゆっくり見てもらえる本屋さんにしたい。目標は、一万円選書もそうだけど、できるだけ長く続けることです。ずっと続けていきたいと思ってます。

――お忙しいなか、お話頂きありがとうございました!

いわた書店さんの撮影スポットで岩田さんと記念写真を撮影

いわた書店さんにある「撮影スポット」で、岩田さんと、買った本と。

いわた書店さんで購入した本の紹介

いわた書店さんで二時間ほど店内を見た後、自分で一万円選書を実施。購入した本の中から、3冊をピックアップしてご紹介します。

「緑色のうさぎの話」

緑色のうさぎの話
著者 : 道尾秀介
朝日出版社
発売日 : 2014-06-24
まわりと比べて自分だけがちがう、といううさぎの境遇を読んで、ぐっと心をつかまれて買いました。絵本調なのですが、子どもが読むにはちょっと絵やストーリーがこわいです。でもとてもきれいな言葉が書かれています。痛いように悲しくなるのですが、その心の痛みが「正しい」ところをまっすぐに突いているので、痛いけれども気持ちのよい、印象強い本でした。

「人質の朗読会」

人質の朗読会 (中公文庫)
著者 : 小川洋子
中央公論新社
発売日 : 2014-02-22
表紙に惹かれて思わず手に取りました。最初の方を読んで、語り手が「人質」という設定に惹かれて購入し、すぐに読み始めました。9つの短編集になっています。ビスケットや公民館の会議室、おばあちゃんの思い出話など、すごく生活的なものを丁寧に抜き出してならべているだけなのに、話が進みます。ドラマチックなことは起こらないけど、そんな日常こそがドラマなのかもしれない。ひとりひとりの人の胸にあるストーリーに想いが及びます。

「きみはいい子」

きみはいい子 (ポプラ文庫)
著者 : 中脇初枝
ポプラ社
発売日 : 2014-04-04
子どもたちとそのお母さんをめぐる、5つの物語で構成されています。苛立ってしまう親の気持ち、不安に思ってしまう子どもの気持ち。目の前にいる「お母さん」はひとりに見えるかもしれない。でも、「お母さん」の後ろには、目には見えないたくさんのことがあるから難しいな、と感じました。子どもだけでなく、お母さんたちも抱きしめたくなる。そんな本でした。

いわた書店のある街、砂川は観光も楽しめます。

今回お邪魔した北海道にある砂川市は、札幌から特急で45分の場所にあります。観光にも力をいれており、電気自転車も無料でレンタルすることができたり、「すながわスイートロード」なるものがあったり、スタンプラリー企画をやっていたりします。

砂川でお世話になった方たちはみなさん親切で、それがとても印象に残りました。自然も多く、のんびり観光したいときにはぴったりだと思います。ぜひ、また遊びに行きたいと思います!

*** 取材協力 ***

いわた書店さん: 公式HPはこちら