50代男性に選書「本気で読める本が見つからない」悩みを解決するまで!

体験レポート

「五千円選書」のご依頼から、本をお読み頂くまでの体験レポート!

依頼者さん:50代男性

今回、実際にどんな感じで選書を行っているのかリアルにお伝えするために、特別に依頼者さんとじっくりメールでやりとりさせて頂きながら、選書を体験していただきました!

ニックネーム: 白トサカさん(50代男性)

選書前のお悩み・不安なこと

<選書前のお悩み>最近、本気で読める本が見つからない。本屋さんに行く体力や気力がない。
<選書で不安なこと>「読んでけるか、積読にならないか」ということ。量、マッチング具合などで。

選書体験スタートです!

まず、選書カルテにご入力いただきました。

スマホで「選書カルテ」に回答し、お送りいただきました。

依頼者さん

(カルテをお送りするまでに)お待たせしました。90分と言う所要時間にビビってしまい、週末まで持ち越しましたが、あまり深堀りして回答できず。少し面倒な回答になっていると思います。すいません。

選書人 かとう

とんでもないです!90分というので構えさせてしまいましたね、すみません。

回答時間は目安ですので、人によってお時間はそれぞれかと思います。今の正直なお気持ちで、ご回答頂ければ大丈夫です。

2. 「選書カルテ」の内容を元に、ヒアリングさせて頂きました。

選書前にお聞きしたお好きな作家 … 村上春樹、江國香織。最近はビジネス書が中心。

  • お好きな作家 … 村上春樹、江國香織
  • 印象に残っている本 … 藤野英⼈「ビジネスに役⽴つ「商売の⽇本史」講義」、中島義道「どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか︖」、中島らも「しりとりえっせい」、斎藤孝「イライラしない本」

(選書カルテより)

選書人 かとう

印象深い本にあげられているものにビジネス書が多く、お好きな作家さんとは異なっているようですが、そのあたりの理由があれば、お聞かせいただけますか?

依頼者さん

本として小説を読んでいたが、社会人として実生活を営むにつれ(つまり仕事で)いろいろとどうしたものか、と思うことが増え、ビジネス書や自己啓発的なものへの割合が増えていったんだと思います。

また、村上春樹と江國香織は、いずれも流行る前からの読者だったのですが、江國香織は何冊か読んで、ここのところすっかり読んでないし、村上春樹は新刊がでればそれを消化していっているので、これも今読むものがなく、ほぼ読んでません。

本に関するお悩み「先を知りたい、と思う気持ちが持続しない」

選書人 かとう

普段の読書ペースについて、詳しくお聞かせ頂けますか?

依頼者さん

今は、何冊かを2~3、4週間位で読むペースです。
読む速度は遅いほうではないかと思ってます。

段々と本が読めなくなってます。一旦読み出すが、半ばで止まることもままあります。積読が増えてしまいます。以前であれば通勤電車の中でも読んでいたのですが、それもここ何年か(5~6年位かな)してないです。

選書人 かとう

本を読んでいると止まってしまう理由で、何か思いあたることはありますか?

依頼者さん

「先を知りたいと思う気持ちが持続しない」からだと思います。既視感があって、期待感が薄く、読み進める気力が弱くなる感じですね。目新しさが段々なかなか感じえないのが大きな一因だと思います。

以前は普通の本屋さんへ習慣的に立ち寄ってましたが、最近ほぼしないです。近所に良い本屋さんが無く、仕事帰りに大型書店に寄る気力体力時間も無く、週末に本のために足を運ぶまでの熱も無く、って状態です。

読書について、読書のハウツー本などを読んだ影響もあるのかもしれないけど、昔に比べて本の読み方が雑になりました。どうしても読みたい本を定価で買う、ってことが少なくなったからということもあるんだと思います。

以前から、寝る前に読む本、トイレで読む本、一生懸命読む本(村上春樹など)と読めるシーンでも読む本が分かれてましたが、最近読めてないので、寝る前本は無いし、一所懸命本も、ほぼ無いです。

人付き合いが少し苦手。映画や絵など、映像美のある作品が好き。

選書人 かとう

苦手だったことや、嫌いなこと。反対にお好きなことなどについて教えて下さい。

依頼者さん

人付き合い。人を与すること。人の気持ちを考えること。人の気持ちを考えるということ、が不得手と思っています。

美術は好きだったけど、絵は下手でした。多くを観に行くことはなかったけど、映画も好きでしたね。

幾つだったか「親子ねずみの不思議な旅」って観たんだけど、シュールでインパクトがあって、未だにタイトルを覚えているのと、印象を微かだけど、覚えてます。

映像美のあるような、意味不明でも(具体的ではないですが)デヴィッド・フィンチャー監督の映画のような、わけわからんけど映像は綺麗、そんなのが好きですね。

面白いと思えるのは、「物事へのそもそも的な興味」。

選書人 かとう

本のラインナップをお見受けし、死生観や哲学といったことに興味がおありのように感じました。
ビジネスの方法論やリーダーシップ論について、人やお金の単純な動かし方、というよりも、その背景にある見えない「力」のようなものに興味がおありですか?

依頼者さん

方法論よりも、その構造に興味がある感じなんだと思います。

ビジネス書や自己啓発的なものへの割合が増えていって、そこからいろいろと物事へのそもそも的な興味が出だして、そういったラインナップができたんだと思います。

日本の今のありよう→西洋文化の影響→キリスト教の影響→ヨーロッパの成り立ち、てな感じです。

(選書前のヒアリングにて)

3. お聞きした内容をもとに、選書開始!

お好きな本をじっくり観察し、その方の興味関心ポイントを探ります。

インターネット上で、「本棚」のように本を管理できるサービスを利用して、その人が「好き」「嫌い」とおっしゃっていた本を並べ、内容や傾向などをじっくりとチェックし、その人の読書の印象をつかみます。

過去にご依頼頂いた方に、同じ本が好き、という方がいらっしゃれば、その「本棚」も見返したりして、その好きな本を見比べたりします。

選書カルテに入力頂いた「ジャンル」の「読む」~「読まない」の回答結果を計算し、グラフにします。

ヒアリングのやりとりなどから、私がご依頼者さんに感じたのは、「ビジネス書をよく読まれているけれど、感性に訴えかけられる作品が好きな方なのでは?」ということです。

依頼者さんの好みの感性に近そうな本で、昔、小説を楽しまれていたような感覚をもう一度感じてもらえるような本をご紹介できれば…、と思いました。

また、最近になって読むスピードが落ちていること、積読が増えることを気にされていたことから、最初から読み込まないといけない長編小説は避けたいです。短編小説や、普段読み慣れているビジネス書でちょっと変わった切り口のものを…、と思いました。

7冊の割合については、「小説:3割、ビジネス書:3割、詩やエッセイ:3割」というイメージで本を探すことにしました。自分が読んだストックの中から、今回のご依頼に合いそうな本を検討しました。たとえば、このような感じです。

小説:

『紙の動物園』(ケン・リュウ)…中国人のSF作家があざやかに描く短編集。「日本の今のありよう」についても想いをめぐらせることができること、短編集なので久々に小説を読むのに集中力が持ちやすいことから。

ビジネス書:

『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』(岡田美智男)…人間のコミュニケーションについて、ロボットという観点からの考察がおもしろい。苦手としている「人付き合い」について、研究者のエッセイという読み物として楽しみながら、何かヒントになれば。

実際に、その人になったつもりで街の本屋さんに行き、本を探しました。

「詩やエッセイ」については読んでいる本や検索などもしてみたのですが、今の旬な作家さんなどの情報も仕入れるために、実際に本屋さんに足を運ぶことにしました。

この時に訪れたのは、大型書店です。その人になったつもりで、エッセイや絵本、短歌などのコーナーを実際に見て回りました。

短いものならその場で読み、確かめます。だいたい、2時間以上はうろうろしていたと思います。(探しているうちに自分が興味のある本が見つかってしまい、思わず、買ってしまうことも)

その結果、名前は知っている作者だったけれど、特に今回の依頼者の方に合いそう!と思った本とめぐり合うことができました。

・詩やエッセイ、絵本:2~3冊

『にょにょっ記』(穂村弘)…短い日記のようなエッセイでどこからでも読め、読みきるプレッシャーが少ないのでは。周りに思わずこれ面白から読んでみて、と言いたくなるので、何かコミュニケーションのきっかけにもなれば。

『思わず考えちゃう』(ヨシタケシンスケ)…依頼者さんが関心をお持ちの、「物事へのそもそも的な興味」や死生観、哲学などに近そう、と思いました。また、この作者は最近よく本屋さんでフェアなどが組まれているので、もし気に入れば、依頼者さんが本屋さんに足を運ぶきっかけにもしていただきたくて。

4. 候補のリストをお送りして、確認して頂きます。

本の候補やジャンルなどについてお聞きし、方向性が大丈夫そうか、という確認をしていきます。この瞬間がとてもドキドキします。(「もう知っている」と言われてしまうと、またやり直しですので。)

かとう

詩や短歌、絵本などはあまり読まれないとのことですが、今回、いくつかお選びしてもよろしいでしょうか。

また、SFの作品もお選びしてよろしいでしょうか。(もし苦手な作風や今まで合わなかった作品などで心当たりがあれば、おっしゃってください。)

ご紹介したい本7冊の割合について、下記の価格帯・割合で考えておりますが、よろしいでしょうか。
・文庫本(600円~800円程度)5冊程度
・単行本(1,000円~1,500円程度)2冊程度

下記にいま候補に考えている本のタイトルと作家名をあげておりますので、もし変えて欲しいものや知っている本、作家名など、ご意見がありましたらお聞かせください。

<候補の作品名>
「〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション」

<候補の作家名>
・ケン・リュウ
・ヨシタケシンスケ

候補について特に問題がなければ、選書リストを確定致します。

依頼者さん

質問をうけて、あらためて思い返して、自分の読書クロニクルって感じですね。

詩や短歌、絵本などは、1~2冊ほどであればOKです。絵本もシュールなのを持っていました。

SFの作品も選んで、OKです。

本7冊の割合について、自分で買う分には、中古を探して買ったりしてますので、文庫か単行かは余り気にしてません。

候補に考えている本のタイトルと作家名について、読んだことのある本は無いです。作家についても特に重なるものはないです。

選書人 かとう

ありがとうございます!(ほっ)

5. 選書結果をお書きし、メールでお届けします。

選書リストをご確認いただき、問題ないとお返事を頂けたので、選書結果をお書きします。

オリジナルの7冊の本の紹介文をお書きします。

本の紹介文は、オリジナルで考えた「思わず読んでみたいな」と思って頂けるような、150文字程度の文章です。今回であれば、このような感じです。

4. 紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

中国人の著者によるSF短編集。日本人の感性に合いやすい作品だと思います。アジア目線でのSF的発想に意表をつかれるだけでなく、著者の文化への深い愛情に心も潤います。序盤、中盤では発想力に魅せられますが、終盤にかけて、もの悲しいメッセージとなる作品が多いです。ぜひ、一編ごとに読後を味わってみてください。

6. にょにょっ記 (文春文庫)

どこからでも気軽に読める、日記風エッセイ。ひとつひとつの日記が30秒くらいで読めて、暇なときの時間つぶしにちょうどいい。歌人らしく、短い言葉の中には哀愁やユーモアのある「何か」が凝縮されているのですが、それが何か「掴み切れない」感じもいい。思わず、ちょっとこれ面白いから読んでみて、と言いたくなる本。

今回の依頼者さんの読書分析結果は…「隠れ感情派タイプ」!

グラフの分析結果ではビジネス書(情報派)のジャンルが多かったのですが、ご依頼者さんに感じた、「感性に訴えかけられる作品を味わうのがお好きなのでは」ということを反映させて頂き、「隠れ感情派タイプ」とさせていただきました。

また、「読書満足度アップポイント」は以下の3つです。

★ 過去の事実や経緯を知って、今の世の中への疑問が解消されたとき
★ これからの人生の参考になる、人生哲学を知ることができたとき
★ 作品の行間から余韻や映像美を感じ取ることができたとき

本をお選びした理由やおすすめの読書方法などをお書きします。

その本を、なぜ、今の依頼者さんにおすすめしたのか?その理由や、おすすめの読書方法など、お選びした際のお気持ちを載せてお書きします。

今回であれば、このような感じです。

…(前略)

さて、ここからは頭を使う本ではなく、楽しんで頂けそうな本をお選びしました。4冊目は短編集ですので、1編ずつほどよい集中力で読んで頂けると思います。中国人で元プログラマーという著者独自のとらえ方がおもしろく、SFの逆説的発想から、ご興味をお持ちの「日本の今のありよう」や「西洋文化の影響」に思いをめぐらせることができると思います。

…(中略)

6~7冊目は、もっと気軽に読めるエッセイ調の本です。6冊目は「浮世離れした感」が味わえる、ペラペラめくるだけで非日常に飛ばされてしまう不思議な本です。7冊目は、「そもそも的な興味」に近そうと思ったのでお選びしました。ヨシタケさんは面白い絵本もありますので、本屋さんでチェックされてみては如何でしょうか。(本屋さんに行く体力や気力がないとのこと、ちょっとしたきっかけになればうれしいです)

…(中略)

最後に、読書方法についてです。興味が続かないときには、いろいろな本をパラパラと読む「乱読」や「つまみ読み」が○○さまのスタイルに合っているような気がします。ただ、乱読が増えると読み切った感が薄くなってしまいます。

今回でしたら、2、4、6冊目はパラパラと気分転換やシーン別に読んで頂くのがおすすめですが、1、3、5、7冊目は、じっくりと腰を据えて読む方が楽しめるかと思います。

実際に本のご意見、ご感想をお聞きしました!

久々にマッチする本や、気になったまま忘れていた本が見つかった

選書人 かとう

お選びした本について、感想などをお聞かせください。

依頼者さん

「〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション」
わりかし、面白く読めています。どうでもいいことをちまちま書いているのがいい。共感を覚えるところが多い。これは、ほんとにピタッときてるというか。この本は知らんかったし、へーこんな人がこんなことを…と思いました。

以前は三色ボールペンでマーキングする読み方をしていたこともあったのですが、これは久々に砂に水がしみこむようにマッチしてるから、書きこまずに読めています。

「紙の動物園」
この作者は以前NHKのニュース番組か何かで紹介されていて、気にはなっていたのですがそのまま忘れていました。これを機会にちょっと読んでみようと期待しています。

「にょにょっ記」
この作者と本を産経新聞か何かで紹介されていて、気にはなったのですがそのまま忘却。これを機会にちょっと読んでみようと、マッチすればしばらく楽しめるのではないかと、期待しています。

「思わず考えちゃう」
この作者と作品はNHKのニュース番組か何かで紹介されていて、気にはなっていたんだけど、そのままにしてました。今回の紹介で本屋でパラパラと⾒てみました、これを機会にちょっと読んでみようと期待しています。

選書人 かとう

選書した割合やバランスなどにつきまして、ご意⾒をお聞かせください。

依頼者さん

割合やバランス、良かったと思います。既知であれど未読の作者、作品が3つあり背中を押された感じがして良かったです。 また、つまみ読み、乱読、積読なので、それにマッチした選書であって楽しめそうに思いました。

(選書後アンケートより)

奥様も読書好きだという今回のご依頼者さん。奥様から、「本は置いておけないからなんとかして」と言われることが多いそうですが、今回、「また本を買ったの」と言いながら『にょにょっ記』を手に取った奥様がご自身と違うところで笑いはじめ、「えっ、そこ!?」と盛り上がったそうです。

お選びした本が、これからの読書ライフを楽しんでいただくことにつながれば幸いです。この度はご協力いただき、ありがとうございました!